パソコンを廃棄したり、他人に譲渡したりする場合に、搭載されているディスクから情報が漏洩する危険性があります。企業で利用していた形跡のある中古のパソコンを意図的に購入して、そこに保存されているデータを探し出すという方法で機密情報を入手するという手口も実際に使われているようです。
その為、廃棄処分やリース返却時にはパソコンに搭載されたディスクに対してデータ消去を行うことが必須となっています。
データ消去を行うために、すべて外部の専門業者へ依頼するケースが多く見られますが、最近は専門業者へ依頼する場合でも、専門業者へ渡す前に一度企業内でデータ消去ソフトを利用し、データ消去作業を行ってから渡すという傾向が強まっています。
最近のデータ消去ソフトは、専門業者でも利用するほど高機能化されてきており、データ消去作業をすべて自社内で完結できるようになりました。
数年前に起こった自治体での個人情報流出。外部の専門業者を信用し、初期化しか行わずにHDDを渡したために、盗難・転売されたHDDからデータが復元されました。氏名や住所を記載した納税記録など大量の個人情報が含まれており、極めて深刻な事件として波紋を呼びました。
総務省は全国の自治体に対して、業者の廃棄時には職員が立ち会うように通知しましたが、既に別の方式のデータ消去を採用している自治体は困惑しています。また業者と対等に渡り合える知識や経験を職員が持つことは現実的ではありません。
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SSDやHDDにあるファイルをゴミ箱に捨てたり、フォーマットしただけではデータが消えたように見えても実際には残っています。
悪意のある第三者によってデータを復元され情報漏洩に繋がる可能性が非常に高くとても危険です。
そのため、実際のデータを消去する専用のデータ消去ソフトが必要です。
各データの保存されている場所や属性などを管理する「インデックス」によってファイルが可視化されています。
データの削除(ゴミ箱)やフォーマットは、このインデックスを書き換えるだけのため、実際のデータは存在しています。
消去ソフトを利用する際の目的は確実にデータを消去することです。無料のデータ消去ソフトも存在していますが、フリーソフトは消去結果に対して保証することは無いため、企業での採用は敬遠されます。
大手企業の導入実績を持つ信頼できるデータ消去ソフトを採用することが重要です。
ライセンスソフトは一般的に使用(消去)台数に応じたライセンス体系になっているため、ライセンス管理を徹底しなければなりません。現実的には複数の拠点で複数のパソコンに対して複数回消去作業を行うため、ライセンスの管理は非常に面倒です。
万が一ライセンス管理を怠ってしまうと、多額の賠償金請求問題に発生してしまうこともあります。コンプライアンスのためにも、面倒なライセンス管理が必要なデータ消去ソフトよりも消去台数のライセンスを気にしなくても良い、無制限ライセンスの体系を採用している消去ソフトを導入し、ランニングコストを抑えることがベストと考えられます。
データ消去を行う場合、操作する方全員のITリテラシーが高いとは限りません。複雑な操作を必要とせず、GUI操作で誰でも簡単に消去作業が行えるインターフェイスかどうかが重要です。
簡易的な消去方式では、専門的な復元ツールを利用することで復元される可能性があります。機密情報の入ったデータを消去する場合は、NSA方式以上の消去方式を搭載しているソフトが必要です。
企業で利用されているデバイスはデスクトップ・ノートパソコンだけではなく、サーバなどもあります。最近では、SurfaceのようなUEFI機やWindowsタブレットなども企業内での採用が多くなってきています。
ディスクやSSDも4K nativeやm.2といった新しい規格が登場してきていますので、データ消去ソフトがそのような新規格の機器に対応しているかも選定時のポイントとなります。
パソコンを廃棄、リースする場合でもそのパソコンに対してデータ消去を行ったかどうかのログを管理しておく必要があります。
いつ・だれが・どのパソコンをどういった方法で消去したのかといったデータは企業として記録することが重要ですので、詳細な消去ログを保存できる消去ソフトを選定しましょう。